My life’s worth @ Winnipeg

 

Tuxtla GTZから2時間弱のフライトでメキシコシティーへ(Ciudad de México)。

そしてほぼ同じだけの時間をかけ、カンクンへとリターン。

シティーの空港内ではいくらかアジア人の姿も散見し、

 「ねえ、あなた韓国人俳優の○○でしょ?サインください」

と僕にすごむ中国人旅行者と会ったりしました。成りきってればよかったなぁ。

ダウンタウンのホテルで一泊し、翌日昼過ぎへカナダへのフライトに乗り込みました。

このときもダウンタウンからのタクシーにクレジットが使えず、スーパーで7本テキーラを買い、路上でメキシカンに売りさばく

という、日常生活ではなかなかお目にかかれない方法で現金を得たりしていましたが、もうそんなのは些細なことです。

そして僕はそのときゆめゆめ考えもしなかったのです。最大の恐怖は帰りの飛行機にこそ潜んでいたことを。

行きと同じようにまずミネアポリスを経由。久しぶりの英語表記に歓喜しつつ、ターミナルに1冊しかなかったペーパーバックを購入。

曖昧な邦題を充てるならば、「地獄との結婚」のような短編集でしたが、これが壮絶に陳腐な作品群でした。

僕から見ても稚拙な語彙と表現力。しかし文字依存症の僕に内容は関係なかったので、飛行機内で読破。

そしてカンクン出発から15時間後、僕はウィニペグへと舞い戻ってきました。外気温度が機長から知らされると皆からは苦笑が。

しかし、あっさり荷物も受け取り、カスタムもすんなりというわけには物事は運びませんでした。

馬鹿正直に書きすぎた税関申告書の値段で、何を持って帰ってきているか手荷物の検査を行われたのです。

 
 何もすねに傷のない僕は、荷物を調べる彼と談笑しながら気楽にことが終わるのを

 見ていたのです。君はバカンスで楽しんできていいなぁという具合に。

 バックパックの中から彼が例のパイプをとりだすまでは。

 
 「やっぱりずいぶん楽しんできたみたいだね」

さっきから笑顔で似たような言葉を繰り出していた彼の口にすでに笑みはありませんでした。

ここで前置きとして付け加えておきますが、それが僕ではないにしろ、実際数回このパイプは使用されていたのです

 「これは何に使うものなのかな?」

という問いに咄嗟に、それはタバコを先端につけて吸うものだよと言う僕。へえ、と興味なさげに相槌が打たれタバコが先端にあてがわれる。

 「あれ?なんか合わないみたいだねぇ」

と、無邪気な子供のように含みを持たせた返答。へ、へぇ。僕はそう聞いたんですけどね、と上ずった声で僕。

それからはすべてのものに更なる調査が行われました。買ってきたチョコレートは割られ、ジャケットの内ポケットは裏返されと。

ガーゼのようなものを僕のi Podやライター、携帯などにあてがい、それを機械にプロセス。そんなことが何度も繰り返されました。

履いていたパンツのポケットは裏返すように、靴下は脱ぐように命令され、無駄に饒舌になっていくのが自分でもわかりました。

そのときのパンツが、リンク先の旅行日記で履いていたものと考えてもらうと、僕の恐怖の一端を窺い知ることができるかもしれません。

ポケットにガーゼの魔手が届かなかったことは、もう僥倖と呼ぶべきことでした。

40分ほどの取調べのあと、ネガティブというスタンプを押された僕は閑散とした夜中の空港で文字通り第二の人生を感じました。

あるいは僕はメキシコの奥地でさ迷うことになったかもしれない、あるいは僕は鉄格子の後ろで生活することになったかもしれない。

そんなことが立て続けに起これば、おのずと見えるものも違って見えます。

そのあとタクシーへのチップを通常の10倍ほどはずんだことは言うまでもありません。

僕らの住む世界はいつもとてもウソだらけ
自分殺して、笑顔作ってる
泣きたくて、笑いたくて、ホントの自分
ガマンして伝わらなくて
君は誰の為に生きているの?

聴き飽きてさえいた楽曲の歌詞を、ほんとうは全然聞いていなかったんだなとまで思いました。

今年はもう少し、泣いたり、笑ったり、自分に素直にいこう。

親やパートナー、親友などを大事に思うのはもちろん、友達になりたくてもなれないままにしていた人たちにも、好きだと伝えること。

書かずにたまっていた手紙を返し、電話帳にいるだけの知人に電話をし、コーヒーショップの店員にも世間話を振ること。

時間はまだまだあります。人生は退屈でそして長い。夢はいつだって逃げない。逃げているのは僕だったのです。

というわけでメキシコ一人旅、かなりおすすめです。実際に危険な場所も多くなかったですし、人もとても温かい。

次はメキシコシティー近郊の都市、プエブラ(Puebla)を訪ねる予定です。旅行パートナーよろこんで募集中。

メキシコ旅行写真、かなり順不同で数も少ないですがアップしました。

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My life’s worth @ Winnipeg への6件のフィードバック

  1. Yukie より:

    タカすごーーーい! なんだか スペイン旅行記 短編集を読み終えた気分です笑相当の読書家なんだろうな!って思っていたけれど、今回、文字依存症と知れてうれしかったです(?意味が分からないね)私も活字依存症になりたい人ですいつか、今回の旅行記を出版してください☆

  2. Yukie より:

    I meant Mexico!!

  3. Kaori より:

    すごい貴重な体験wwってか、あたしもバンクーバーから、ウィニペグに来るときに、スーツケースを間違った州に運んじゃったみたいで、一日かかって、スーツケースがウィニペグに戻ってきたよ! ってか、それが、そのスーツケースの中が意味不明に濡れてたけど↓

  4. 彩子 より:

    明けましておめでとう!メキシコで楽しい経験をしてきたみたいですね。そういや私の友人も年末、アメリカ出張のあと、メキシコに寄ってきたみたい。やはりテキーラを飲みまくり・・・そして飲みすぎたと言っていました。夏のバーベキューは参加できず残念でした。今年は会えるかしら。お互いに実り多き一年にしましょう!nmnlaya.exblog.jp

  5. S より:

    yukie>たしかに文字依存症ってなんだ、って自分で思ったよw最近のお勧めは福岡伸一さんです。kaori>ウィニペグってそれ多いよね。俺も2回あったよ。自分で取りに行くのが面倒だね。ayako>メキシコ人はほとんどテキーラを飲まないという事実に僕は泣きました。ラムとウィスキーが人気みたいです。今年はぜひ!

  6. mary より:

    あぁー、面白かった。極上の笑いをありがとう。序盤に小出しにされて徐々に怒濤の勢いで繰り出されていくネタの数々と、そんなとんでもない大冒険をほのぼのと綴る語り口が、もうほんとお見事の一言だよ。ほんと本出せるよあんた。どくとるマンボウ航海記はたぶん相当共感できるんじゃないかな、南国の描写とか片言の第三言語を使った怪しげなやり取りとか。文体は全然違うけどユーモアのセンスに同じ匂いを感じるし。あ、二度と蜂に刺されないようにね。アナフィラキシーの検査しといた方がいいよ。

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