深淵なるフィルター

 
言わずもがな、イメージというのはあらゆる面において非常に大事な要素である。

僕のまわりにいるカナダ人は無意識のうちに、僕の中の「カナダ人」というステレオタイプを日々作り上げているし、他の人種の方々もしかり。

 
だから僕たちは、しっかりと日々自分自身の「日本人というレッテル」を意識しながら振る舞うべきなのだ。

それが「日本人」というステレオタイプ、あるいはステレオタイプと呼ばれる真実を構築する因子なのだから。

ケース① 僕と教授

 (50人規模クラスの授業が終わったあと)
 
 教「あ、タカくん。ちょっと聞きたいことがあるから私が片付け終わるまで待っていてもらえるかな?」

 
 僕「はい、構いません」

 教「この書籍の内容の一部について説明が欲しいんだ、なかなか他に日本人がいないもんでね」

 僕「あら、村上龍著のイン・ザ・ミソスープじゃないですか。日本の書籍読まれれるんですね、センス良いですな」

 教「この本で、『私、俺、僕、あたし。日本語に一人称を表す言葉が沢山あるのは、一体なぜだろう』という場面が冒頭にあるんだ」

 僕「たしかにそうでしたね、その解釈をめぐるだけでも結構楽しいと思いますよ。日本語における人称のオプションは比較的多いみたいですし」

 教「これらは実際どういう意味合いで使い分けられるのかい?」

このような僕好みの話題を振られると矢も楯もたまらず、その授業と同じぐらい時間をかけて僕と彼は話し込みました。

それぞれの特色、ニュアンス、TPOにおける使い分け、そして結局のところ例外はすべてにおいて存在し、ときとして正否などないこと。

いくらか釈然としないところはあるものの結局言語というものはそういうものだよね、というような口ぶりながらも彼は礼を言い満足そうにその場を去りました。

ケース② 僕と記者

 (家に帰ると携帯が鳴る。以前知り合ったフィリピン新聞社の記者さんの名が液晶に映し出される)

 
 記「はろー、タカ。調子はどうだい?」
 
 僕「ええ、いつもどおり悪くないですね。お久しぶりです」

数か月前、僕がフィリピンの近代史という experimental course を受講した際に僕は彼に知り合いました。

その授業は、フィリピン系カナダ人の猛烈な招致によって、近代フィリピン史学では著名な教授が米国から教鞭をとりにきたというものでした。

 
どうやらカナダの高等教育機関で正式にフィリピン近代史の授業が開講されるのは初めてということで、周囲は終始祝祭的なムードを湛えていました。

 記「実は以前のインタビューのお礼がしたくてね。では明日待ち合わせよう」

またもや、そのコースを取っていた唯一の日本人として、当時僕は彼からインタビューを通して「日本人意見のサンプル」を採取されたのです。

もちろん彼が求めていたのは、「大日本帝国支配下におけるフィリピンの歴史認識」に関係のある日本人の意見です。

フィリピンを占領した国のひとつ、そして大日本帝国が第二次世界大戦でつけた傷跡のひとつ。もちろん一口で説明することなんて僕には不可能でした。

けれど僕の基本的なモットーのひとつ、「浅く、広く、広く、そして浅く」に助けられ、無難ながらも基本的にはきちんと答えたように思いました。

 
彼もそれなりに満足したらしく、僕は他の新聞社のインタビューも受けました。そちらはライバル社に差をつけようとしてか、ご飯をおごってくれたりしました。
 
 
 記「やぁ、遅れて悪かったね。これが先日の謝礼だよ」

 
コーヒーを頼むより先に彼は僕に小切手を渡しました。ライバル社の対応を聞いたのでしょうか、一般人なのに素敵な待遇です。

日本人のデフォルト特性として、「いやー僕なんかが、いやいや、申し訳なくて受け取れないです」と数回言って、僕はしっかりと受け取りました

 記「カナダ初の試みで、若い日本人のフィリピン史に対する意見を聞けたんだ。貴重な意見ありがとう」

 
 
上記のケースからわかるように、僕は日々「日本人」のイメージ向上を図って生活しているのです。

こころから母国語を愛し、そして歴史を責任とともに語る日本人。あぁなんて知的で素敵。

 
ケース③ 僕と友達

  (朝食の皿を洗いそびれ、夜にチーズがこびりついたそれを発見する)

 僕「(これは洗ってもなかなか取れないな。よし、お湯を入れてレンジでチンして汚れを落としやすくしよう)」

誰かに見つかってしまうと恥ずかしいので、僕はこれを深夜2時にこっそりと行いました。タイマーを3分セット。

 
 友「あれ?おまえ何やってんの、こんな夜中にメシかよ」

 僕「(ひー!見つかった!)え?いや、なんていうか、まぁそうだね」

 レ「チーン!」
 

 僕「(ひー!できちゃった!)」

 友「なんか俺も小腹空いたんだよね、なに食べようとしてんの?(レンジ内を覗く)」

   「・・・・何これ?」

 僕「・・・・お、お湯のチーズ和え。に、日本人はたまに夜中に食べたくなるの

 
 
結果として、日本人のステレオタイプの質を地球上で一番貶めているのは僕でした。どうか皆さん代わりに日々頑張ってください。
 
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深淵なるフィルター” への3件のフィードバック

  1. その方が恥ずかしいじゃんよ……普通だろ皿洗いなんて…(~ヮ~)

  2. わたし learned some words from above
    日本人 = にほんじん?
    いこ = わたし
     
    ケース = it sounds like case
     
    チーズ = sounds like both cheese and chinese little dog called shizu or something like that
     
    overall i dont get anything from above  haha i guess there is 3 cases of conversation about something. my japanese never improve

  3. mary> あ、ほんとに?なんか電子レンジを皿洗いに使ったっていうことがバレたくないてつい・・・。nicha> awesome. you got almost all correct, nicha. I wish I would be able to teach you some more soon. gotta decide t-day.

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