JACK SPADE

ハートの少女は、まるでトランプゲームの一つみたいに
自分にぴったりの相手を探し求める
 
いつの日か理想の相手とペアになれると信じながら
自分と同じ姿、同じ価値観の相手を探し続ける
 
プレイヤー同士がカードを交換する瞬間
彼女は手札の隅で身を潜めながら、静かに身体を震わせている
 
自分がこれから向かう先に、理想の相手が待っているのか
そして温かく自分を迎え入れてくれるのかと
 
しかしいくら待っても自分の向かう先にその姿は無く
ただ、少しだけ温度の残る足跡だけが残っている
 
 あなたはどこにいるの
 いつ私を見つけ出してくれるの
 
彼女の悲痛な叫び声はただ虚空にかき消え
それとは裏腹に、舞台は終演へと向かいながら二人ずつカードたちを消していく
 
純愛だけが救われるわけではないこの世界では
彼女が幸せになれるかどうかなんて誰にも分かりはしない
 
そして場のカードが最後の三枚になったとしても
おそらく彼女はプレイヤーや自分の運命を責めるべきではないのだ
 
全ての条件を含んだ上で、今の現実が存在し
今の自分があるのだから
 
プレイヤーは静かに、最後となるかも知れないドローを終える
カードはまだ背をテーブルの上に示したままだ
 
結末を知っているのはもちろん相手プレイヤー
そしてうつ伏せになったままのカードだけ
 
探し続けてくたびれた彼女は
もう消え入りそうな声しか絞り出せない
 
 本当にあなたは私の追い求めるあなたなの
 私が想っていた感情は間違っていなかったの
 
しかし感情を外に出そうとしないそのカードは
もちろん答えるべき口を持ち合わせてはいない
 
その平たい紙片の奥底で
どんな表情をして日の目を待ち望んでいるのか
 
彼女には知る術もなければ
知ることもまた逃げ出したくなるほど怖いのだ
 
プレイヤーは手を伸ばし
運命のカードを天のもとにさらしだした
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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