セミと僕と君と野球場と

君と大学が同じだったという夢を見た
内容をこんなに鮮明に覚えていながら覚醒しているというのも、なんだか変なものだ
 
なぜだかそこでは僕は君の後輩みたいな扱いを受けている
キャンパスを案内されていたし、学食をごちそうしてもらっていたからだ
帰り際にグラウンドで野球の試合を観ていたのも覚えている
白のユニフォームと黒のユニフォームが試合していて、近くの芝生で沢山の人が観戦していた
僕らもご多分にもれず、その中に混じり白球の行く先を眺めていた
音の無い世界ではどんなバッターも手ごたえを感じていないように思えたが
彼らは現実のそれと同じように打ったり、あるいは空振りしたりしていた
 
どれぐらいの時間が過ぎたのだろう
いや、夢の中で果たして時間が過ぎるのか
どっちにしろそのモノクロームの世界は少しずつその色彩を強め始めていた
そして季節は夏のはずなのに、不思議と暑さは感じなかった
それは体感温度をむやみに上げてくれるセミの鳴き声が聞こえないせいかもしれなかった
 
ふと君が立ち上がると、いつのまにか試合は終わっていた
目の前のグラウンドには選手の姿はおろか、観客達も、ベースも何もなかった
野球が終わった後というよりは、砂漠化が進んだ町の跡だと言われたほうが似つかわしい
 
急に無口になった君を追いかけて校門を抜けた
その背中は話すことを拒絶した石像のような印象さえ与えた
どこかへ導くその果てしない上り坂を歩きながら思い出した
いや、正確には君のその態度で思い出したんだろう
僕の介入する余地を全く許さない、確固としたその態度で
 
これは夢だ、と
 
夢から醒める手がかりが、現実に起こったことだなんて皮肉すぎる
 
外は相変わらず暑く、セミは自らの生を確かめるかのように夏の温度を上昇させている
 
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